2016年版メーカー海外駐在員の年収 in アメリカ
日系メーカー駐在員へらじか (@moose_fukui) です。
9月に書いた記事で毎月の手取りが$6,000 (約60万円)と紹介しました。その時書いていなかった年収や日本の口座に入る給与についても改めて、丸ごとご紹介します。結論から書くと、年収は1,600万円でした。
- 背景:収入を世間に公開する理由
- 基本情報:年齢・職種・家族構成等
- 年収に驚いているのは自分自身
- ドル建て給与と税金・保険料
- 日本円建て給与と税金・保険料
- 日本円建てボーナスと税金・保険料
- 結局、手取り年収はいくら?
- 固定支出を除き、生活費や交際費に使えるお金はいくら?
- まとめ
背景:収入を世間に公開する理由
9月の記事でも書きましたが、自分自身がアメリカ赴任前にWebで、駐在員とお金にまつわる情報がとれなくて苦労したことがきっかけです。
赴任の直前に娘が生まれ、貯金や保険やお金について考え始めた矢先の海外転勤。情報を仕入れなければならないときにWebで情報が取れないというのはつらいものがありました。
驚くことに、Google検索で「駐在員+○○」と検索すると、けっこうな確率で検索上位に古いYahoo知恵袋や発言小町が出てきたりします。2005年代前半の知恵袋を見ても、干支が1周しちゃってる情報だと為替も経済状況も異なるのであまり参考になりません。
もしくは、「5年間で○○万円貯金できました」「貯金はできませんでしたが生活には困りませんでした」など、数字をともなわない情報が多く、これもあまり参考にならず。
それでも渡航前はそのあてにならない情報にすがるしかないほど困り、不安と緊張でいっぱいの数ヶ月を過ごしました。
この経験から、だったら無いものは作れば良いというポジティブな発想でブログを開設、2015-2017年の最新情報に基づいた記事作成に至っています。
いち個人の事例をまとめただけの記事ではありますが、同じような境遇の人の助けになるかもしれないと思い、可能な範囲で情報公開をしてみようという考えです。
基本情報:年齢・職種・家族構成等
おさらいですが、30代前半、日系メーカー勤務、マーケティング職、妻と子供二人の家族構成です。
肩書きはマーケティングマネージャ。マネージャと言っても部下のいない名ばかり管理職です。
部下がいないのにマネージャになっている理由はいくつかありますが、アメリカの労働法上のExempt Emproyeeという、残業代のつかない職にカテゴライズするためというのが有力です。
日米の時差対応で深夜も働くので、残業の概念もなにもあったものじゃないですからね。
年収に驚いているのは自分自身
冒頭で書きましたが、2016年のへらじかの年収は1,600万円でした。
これは2016年1-12月の実績で、税金や保険料等を控除する前のいわゆる「額面」の年収です。税引き前、という表現もあります。
円ドルレートは現時点の1ドル=112.70円で計算し、わかりやすく日本円に直しています。
実はこれまで、赴任後の収入を日米の口座を合わせてしっかり計算したことがありませんでした。アメリカで支払われる給与については銀行のアカウントを携帯から見れるのでデイリーで把握していましたが、日本側に振り込まれる給与は別。
元々日本円には手をつけずに貯めておき、本帰国後の車の購入資金にしようと考えていたこともあって口座を確認する習慣も無く、日本円ベースの給与はしっかり管理ができていませんでした。
今回数字をまとめてみて、一番驚いているのは自分自身です。次点で妻。
普通に考えて、30代でこんなにもらっている人は、いまの日本では少数でしょう。平成27年度の国税庁の統計では30代前半の年収平均が400万円強なので、平均の約4倍の金額をもらっている計算になります。
ただ、この驚きはうれしさや優越感とは別です。
なぜこんなにも収入があるのに、貯金が思うようにできていないのか。
妻も同じ感想をもったようで、一言で表すと、焦りです。
この焦燥感から赴任後の給与明細をすべて洗い出していたので、この記事の作成には足かけ3週間かかっています。
ドル建てと日本円建て、それぞれ分けて解説します。
ドル建て給与と税金・保険料
アメリカ側のドル建て年収は約$119,000でした。日本でもらっていた給与をベースに、購買力保証方式という考え方に基づいて算出されています。
簡単に言うと、アメリカでも日本にいた時と同じ暮らしをするための割り増し計算のようなものです。
例:アメリカで買う味噌やしょうゆの値段が日本の3倍なら、それに応じて給与もわずかに増える
赴任前に人事から説明は受けましたが、特に交渉の余地もなかったので、わかりましたとだけ答えたのが現実です。
年俸制のため、上に書いた金額が分割され給与として月々支払われます。残業代は付きません。
実際には勤め先では隔週の支払いをしているため、約26分割されて2週に1回支払われます。
ここから諸々の税金や健康保険が$48,000引かれており、手取りは$71,000となります。これがドル建てでアメリカの口座に振り込まれます。
日本円建て給与と税金・保険料
日本の月給というのもあるにはあるのですが、主に日本の健康保険を維持するために必要な金額だけが支払われており、日本で勤務していた頃の金額がそのまま入るというわけではありません。
約6万円の額面から健康保険料、社会保険料、組合費他を差し引くと残るのはほぼゼロです。
ほぼゼロどころか、今回まとめてみて気づいたのですが、2016年の最初の数ヶ月間は毎月マイナスになっていました。これは税金や保険料に加えて毎月5,000円分、持株会に加入していたためです。この期間は日本の口座への入金はゼロ。不足分はあとでボーナスから引かれていました。
他にも気づきはたくさんありました。
2016年の途中から住民税約2万円の支払いがなくなったため月収はプラスに転じていたこと。ほかに、組合費が上がっていたことや、厚生年金保険料が2回も上がっていたことも、恥ずかしながら今になってきちんと認識しました。
最終的に、年間トータルでは75,000円が手取りとしての日本円給与でした。
このあたり、商社や銀行だと日本側の給与も赴任前とほぼ同じ金額が丸々入る企業もあるようです。これが「駐在すると家が建つ」と言われている理由のひとつですね。
残念ながらメーカーはそんなことありません。おそらくへらじかの例と似たり寄ったりではないかと。
日本円建てボーナスと税金・保険料
自分の勤め先では為替差損のリスクヘッジのためボーナスは円建てで日本の銀行口座に入ることになっています。
2016年のボーナス額面は夏冬合わせて199万円、税金や保険料を引いた後の手取りは156万円。上で書いた月給のマイナス分も税金や保険料と同様にボーナスから差し引いて調整されていました。
アメリカ赴任以来、この日本円のボーナスには一切手をつけていません。帰国後に車を買いなおすための資金、そして子供の教育資金としての貯蓄です。
普通口座に入っており、この規模の金額をまったく運用できていないのは大きな機会損失です。MMさんのブログのこの記事にもっと早く出会っていれば、もっと多くの金額を持ち株会に割り振って運用することができたと後悔しています。
結局、手取り年収はいくら?
日米給与と日本へ振り込まれるボーナスについてまとめました。一番下の手取り年収の日本円164万円と、米ドルの日本円換算で804万円。合計、968万円が日米合算の手取り年収です。
固定支出を除き、生活費や交際費に使えるお金はいくら?
先日の記事で書いた固定支出は毎月$3,950でした。年に換算すると$47,400 (534万円)。ここに家賃、水道光熱費、ネット、車、保育園代が含まれます。
つまり手取り年収からこの固定支出を引いた金額434万円が、食費、被服費や交際費、そして貯蓄に回せる金額です。うち164万円は日本の銀行に入金され動かせないので、実質アメリカで使えるのは年間270万円ということになります。(月々22.5万円 / 2,000ドル)
食費、日用品、被服費、交際費等々、物価の高いアメリカでこれらをいかに節約して暮らせるかが資産形成のポイントになってきそうです。
いま妻が家計の見直しをしてくれているので協力して節約したいと思います。
給与明細に表れないフリンジベネフィット、いわゆる福利厚生手当てについては別の記事で書きます。
給与そのものについては日本のメーカー駐在員ならおおよそ同じ水準なのではないかと推測しますが、福利厚生については会社によって大きく異なりそうです。医療費や教育費の補助がこれに含まれますが、残念ながら我が家は子供の年齢の関係でその恩恵をあまり受けることができていません。
まとめ
会社に様々な費用を負担してもらって家族で海外に住めるということはとても貴重な経験です。生活面でも、アメリカ人同僚との仕事の面でも、新しい考え方に触れることで自分の枠を広げることができます。希望して来たこともあり、それ自体に不満はありません。
ただ、比較的若手の社員が駐在に出ると日本の給与ベースで海外給与が決まるため、年配の人や役職者と比較してお金の面では得ではないと言えるかと思います。
子供が小さいうちが貯め時だと言いますが、我が家では思ったように貯まっていないのが課題。今回まとめてみた結果は誰より、自分の反省のためにとても役立ちました。
これまで駐在員の給与、年収と書いてきたので、次は支出や貯蓄についても記事にしてみたいと思います。
アメリカ赴任中の大きな給与アップは望めないので、目下クレカ特典としてマイルを稼いで交際費を節約しつつ、お金に働いてもらうために近日中に米国株投資を開始予定です。加えて当然ながら英語もしっかり身につけて、将来の稼ぐ力を磨きたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次の記事はへらじか家の交際費節約の要、クレジットカードによるボーナスマイル獲得術です。これまで約2年半で80万マイルを得て家族旅行に使いました。条件は厳しくなっていますがまだまだ再現は可能。
50種類のカードを比較検討してへらじかが実際に選んだ10種のカード一覧はこちらから。ライフスタイルや家族構成でおすすめカードは変わりますが、実例として。
米国株投資はロボアドバイザーを使って2017年10月から始めました。AIによる自動の銘柄判断が行われる、比較的新しい形の積立運用です。手数料が安いのが最大のメリット。
米国株、個別銘柄についてはFirstradeという証券会社を選んで運用を開始しました。口座開設と入金方法は次の記事でまとめています。
Twitterのフォローはこちらから @moose_fukui